「VB」がより進化した、「VB-COSME-」が描く未来。

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東京工業大学と慶應義塾大学発の合同ベンチャー、そしてFSXの共同研究によって生まれた抗ウイルス・抗菌を安全に叶える特許技術「VB」。この技術は、おしぼりを使った新たな手指衛生技術として、新型コロナの感染拡大の際にも高い評価を受けました。そして、このVBをさらに広いシーンで活用してもらいたい、その秘めた可能性ももっと引き出したいと考え、この度、FSXでは化粧品認可も得た「VB-COSME-」を開発。今回の対談では、その開発に辿り着くまでのプロセスや「VB-COSME-」とともに描こうとしている未来について、FSXの代表取締役社長の藤波 克之と、研究・開発にご尽力いただいている団 克昭氏に語ってもらいました。(聞き手:FSXブランド統括室)


──まず、お二人の出会いから教えてください。

団:知人を介して挨拶はしていたのですが、2回目の面談時にFSX株式会社の前身となる株式会社藤波タオルサービス創業者のお父様と専務だった克之さんがお二人揃って、当時私が在籍していた慶應義塾大学 医学部の研究室に訪ねて来られたんです。2010年の年末だったと思います。お父様はやや強面で、息子さんは体が大きくて、研究室にいる面々とは異なる雰囲気だったのでちょっとたじろぎましたね(笑)。おしぼりに使える、抗ウイルス剤を探しておられるということでした。

藤波:その前年、関西で新型インフルエンザが流行ったんです。そのため、ウイルス対策できるおしぼりを求める声が寄せられていました。しかしながら、当時そのようなものは存在しなかったんですね。また、一方でこれはビジネスをする者としての思いなのですが、私個人として「技術」に憧れがあった。友人に文具メーカー社長がいるのですが、彼の話を聞くと、文具にはものすごい技術が詰まっているんですよね。そして、それを他の事業に展開できたりする。じゃあおしぼりはと言うと、おしぼりを回収し供給するという、人の、職人の技術がほとんどなんです。そこにサイエンスの技術を持ち込められないだろうか。可能ならば、おしぼりの本質にかかわる技術を…。そう考えると、やはり「衛生技術」というところに行き着いたんです。

団:そうお話しいただいたのですが、当時はVBという技術さえ世の中になかったんですよね。でも、何百種類とあるポリ酸の中に抗ウイルス・抗菌に効果を発揮するものが見つかってはいました。ですが、残念なことに、私の本来のフィールドである医薬品には適さない側面が見えてきたタイミングだったんです。ポリ酸の特徴として、人体からどんどん排泄されるというものがある。そのため、体の中に留まる時間が短く、薬として効果を発揮しにくいんです。でも、おしぼりならば…。そこからポリ酸を主成分としたVBの共同研究が始まりましたね。

藤波:早速、試験していただいたのですが、これが素晴らしかった。もう菌がどんどん減っていって、1か月経ってもまだ菌の数値が下がっていく。真夏にもかかわらずです。当時の私は、菌とウイルスの違いも分からないくらいの知識でしたが、ワクワクしましたね。

団:効果はもちろんのこと、VBは安全でもあるんです。効果を発揮する最小値、「最小有効濃度」というのがありますが、それが細胞に対して毒性となる濃度と非常に乖離している。つまり、人体に有害となりにくいんです。また、菌・ウイルスを攻撃するわけではなく、むしろ結合して身動きできなくさせるんですね。さらにコーティングまでして、細胞への感染を防ぐ。つまり、人体を守りつつも、より強い菌・ウイルス、いわゆる耐性を持ったものも生み出しにくい。非常に優秀なのですが、「攻撃しない」「取り除かない」という点が工業規格では評価されないんです…。そのような背景もあり、当時は「雑貨」分類されるおしぼりに活路を見出したというのもあります。でも、今度は、雑貨には医薬品を配合してはいけないという規定に悩まされることになり、試行錯誤を重ねましたね(笑)。

藤波:商品化にあたっては、2012年、当時の「VB」導入には、VB水溶液を安定させられず、おしぼりがカビてしまったこともありました。苦労もありましたが、会社のメンバーも尽力してくれて、2013年には製造方法と水溶液の特許を、さらに、2020年にはバージョンアップした現在の特許技術を取得することができました。そしてVBのブランド化により、いまや弊社の「レンタルおしぼり」や「ポケットおしぼり」などの商品はもちろん、VBパートナーという認定企業の商品にまで広がっています。

──そんなVBから、さらにVB-COSME-という技術が誕生しました。どのようなきっかけがあったのでしょうか?

藤波:考案のきっかけは、新型コロナウイルスによるパンデミックが大きいですね。当時、VBでウイルス対策されたおしぼりは、まさに飛ぶように、ものすごい勢いで人々に求められたんです。それはありがたかったのですが、この狂騒曲とも言える状況が過ぎたら、VBの需要も一緒に終わるだろうとも感じていました。だからこそ、ウイルス対策を超えたおしぼり、「おしぼりはこうあってほしい」という理想を今こそ求めたいと思ったんです。非常時や一部の人々だけに必要とされるものではなく、持続的な成長に寄与できるものにしたかった。

団:たしか電話で「VBを化粧品素材にすることは、あり得ますか?」とご相談いただいたんですよね。

藤波:そうしたら団先生は「酸化還元効果が認められているので、いけるかもしれない」とおっしゃった。

団:正直、ずっと医薬品を開発してきた私からすると、あのお話はうれしかったですね。おしぼりという異なる領域に送り出した技術が、また自分のフィールドに戻ってきたような感覚がありました。おしぼりでは手指衛生の範囲だけで語られる技術でしたが、化粧品として肌が拭けるようになると、身体や細胞に対しての効果を謳えるようになる。つまり、安心・安全ということが強調できるんですね。

藤波:おしぼりを化粧品グレードにしたい。それは、じつは前から思っていました。日本の文化であるおしぼりを海外にも広げていくならば、雑貨のままでは難しいんですよね。今よりも多様なシーンで使ってもらうことが、可能性を広げることにつながる。日本の「おしぼり」を、世界の「Oshibori」にしていきたいという思いがあるんです。

──化粧品認可による商品化は、スムーズに進みましたか?

藤波:VBの時の製造ノウハウやブランディング経験があったので、商品化へのベースは整っていましたね。しかしながら、化粧品として世に出すとなると化粧品製造業と化粧品製造販売業の許可が必要です。最も大変だったのは、製造工程を一新する、工場の設備から変えていくところ。ただ、それだけの投資をしても化粧品認可を得られるレベルの品質のアップデートに可能性を感じていました。とにかく僕がやりたいのは、会社の価値を上げること、おしぼりそのものの価値を業界全体で上げることなんですよね。必ずそこにつながると確信していました。

団:そのために、藤波社長は薬科大の大学院で勉強もされてるんですよね。僕もけしかけたのですが(笑)。

藤波:最初は突拍子もない話に思えて、「無理です」ってお答えしたんですけれど(笑)。でも、自分が勉強することでVBが加速するならと考え直し、挑戦したんです。実際は、とても大変でしたよ…。文系出身ですから、もともと生物や物理、化学なんて得意ではなかった。初めて論文を読みこなしたり解読するのは難しく、論文を書いた時は、本当に苦労しました。ですが、そのうちに楽しくもなってきたんです。団先生にお借りした資料も読めるようになってきて。そして、何よりもエビデンスを積み上げていくことの大切さを学びましたね。ビジネス視点で見ても、エビデンスこそ商品ブランディングの本質になり得ると感じたんです。

団:そして、FSXラボ(2022年設立のVB研究開発の拠点)まで設立された。おしぼり業界のみならず化粧品業界でさえ、こんな本格的な分子生物学分野の研究室を持っているところなんて少ないでしょう。社長だけでなく、薬科大出身の研究者も採用されて。僕の研究人生で集めてきた実験機器も、ここに集約させてもらおうと思っているくらいです(笑)。

藤波:ラボ設立も、団先生が勧めたんじゃないですか。ゴルフ後、温泉につかっていた時に(笑)。

──VB-COSME-は、今後どのように展開されていくのでしょうか。

藤波:薬機法上で、肌に使ってよい、化粧品と名乗ってよいところまできました。それによって、まずはおしぼり分野で拡張していきます。

団:化粧品グレードのおしぼりは、まだ世の中にはないですからね。この意味、じつは分かる人には分かるんです。雑貨分類として「手指衛生」しか言えなかったものが、肌も拭けるようになったことを理解し、反応してくれるんです。

藤波:ユーザーの業種も、今のメインである飲食業から、たとえば、美容や健康を扱うサロンなどへ広がっていく可能性がありますね。

団:そうですね。ですが、一つ注意しなければいけないのが、化粧品となると今度は抗ウイルス・抗菌が謳えなくなるんです。そういう意味で、雑貨と化粧品、それぞれのPRを考える必要がある。まず「VBでないおしぼり」と「VBのおしぼり」、そして「VB-COSME-のおしぼり」という3つの世界観があることをユーザーに明らかにしていきましょう。さらに、コスメという言葉が一人歩きしないよう、肌が拭けることをエビデンスとともにしっかりと伝えていきたいですね。VBとVB-COSME-は、ユーザーにおしぼりの選択肢を広げたと思います。

藤波:団先生は、アカデミアな方でありながらも、ビジネス視点でいつも柔軟にアドバイスしてくださいます。ありがとうございます。そして、さらにVB-COSME-には、純粋なコスメとしての道もあるかもしれませんね。

団:ポリ酸には、抗酸化作用というものがあります。たとえば、ホワイトニングやアンチエイジングなどに代表される、いわゆる抗老化作用というものです。その側面にスポットをあて、化粧品市場へ展開していくことも十分にあり得るでしょう。

藤波:おしぼりって、水分を含む「生もの」として難しい部分があったんです。まさに、カビてしまったり。でも、団先生に出会ったことで、デリケートだと思っていた部分に価値を見出せた。水溶液から可能性が広がっていくなんて、思いもよりませんでした。さらに、おしぼりを進化させるどころか、超えていくかもしれない。

団:私はVBもVB-COSME-も、まだ完成したとは思っていませんから、さらに進化する余地はありますよ。

藤波:おしぼりの始まりは、旅人の疲れを癒すものだったんですよ。そして、飲食の場で「おもてなし」として提供され、さらに昨今は外出時の手指衛生を保つ「ポケットおしぼり」としても注目されています。時代によってそれぞれ求められることがあったのですが、その中で日本人はなんとなく顔や肌を拭いたりしていましたよね。それがVB-COSME-によって、とうとう法律的にもクリアになった。これは大きいことです。ここから時代とともにどのように進化していくのか。VBも、VB-COSME-もどんな未来を描いていけるのか、楽しみですね。