被災地の生活を守り、人に寄り添うおしぼり

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おしぼりは手を拭くもの。
多くの人がそれ以外の使い道を考えたことはないかもしれません。しかし、おしぼりの用途はもっと幅広く、これまでも「ポケしぼ通信」ではスポーツ観戦やアマチュアスポーツ大会で、タオル代わりにお使いいただける使い切りのポケットおしぼりを紹介してきました。
今回は、災害の現場で必需品となっているおしぼりにまつわる話をご紹介します。

緊急災害対応アライアンス「SEMA(シーマ)*1」は、日本国内での大規模自然災害発生時に民間企業と市民団体(以下、CSO)*2 が連携して災害支援をおこなうための仕組みです。SEMAの事務局長を務める藤岡久子さんに、被災地におけるポケットおしぼりのニーズについてお話を伺いました。(聞き手:FSXブランド統括室)

*1 SEMA…緊急災害対応アライアンス「SEMA(Social Emergency Management Alliance)」は、民間企業と市民団体(CSO)が連携し、日本国内において災害支援を行うための仕組みとして2017年8月に設立。自然災害の多発地域である日本において大規模災害時に一刻も早くひとりでも多くの被災者を救うことを目指して、加盟各社がもつ物資やサービスを被災地に提供している。

*2 CSO…「Civil Society Organization(市民社会組織)」の略称。SEMAには災害支援に特化したCSOが加盟している。


──まず、どういった場合に被災地でおしぼりが必要となるか教えてください。

おしぼりは災害発生直後から、その後、日が経ってもずっと必要な物資です。SEMAでは災害発生後、迅速に現地へ入ったCSOを通じて必要な物資と数量を聞き取り、その情報を加盟企業に伝えます。対応できる加盟企業から提供された物資は現地のCSOが被災者にお届けしています。

災害の種類にもよりますが、被災地では道路の寸断あるいは断水によって、水が不足することが多いです。そうしたときに、ポケットおしぼりは食事前後の手洗い、トイレ後の手洗い、入浴の代わりなど身の回りを衛生的に保つために使われます。暑い時期には汗を拭くタオル代わりにも、首に巻けば熱中症予防にもなります。さまざまなシーンで使いますね。

──被災地で必要になるおしぼりの量は、どのように算出しているのでしょう?

SEMAに加盟するCSOからは、たとえば人数に応じた基準の目安を設けて計算していると聞きました。ただ、必要な量は被災地の状況によって変わります。水が供給されているのか、汚れの程度はどのくらいか、支援期間中にどれだけのボランティアが集まるのかといった、さまざまな要素を考慮しながら、現地のCSOがこれまでの経験をもとに必要な量を判断しています。

SEMAは緊急期に特化した災害支援で、短ければ2週間ほど、長ければ1ヶ月かそれ以上で支援を終了します。そうした支援期間のなかで、おしぼりは一度に数百〜数千枚が必要となり、場合によっては二度、三度と支援をお願いする物資のひとつです。

──おしぼりといってもサイズや素材にいろいろな種類がありますが、どのようなものが必要とされていますか?

被災地では水の使用が制限されることも多いため、使い切りのおしぼりが求められることが多いです。サイズは大小問わず必要とされますね。炊き出しなどで手を拭く用なら小さいサイズが扱いやすいうえにゴミも少なく済みますし、体を拭くタオル代わりであれば大きいサイズが喜ばれます。これまでにも、FSXさんのポケットおしぼりの支援に対して、CSOや被災者の方々から感謝の言葉をいただいています。

SILKY L WHITE

薄くても破れにくいので、1枚でしっかり手が拭けます。
嵩張らない平型なので、保管スペースも少なくてすみます。
おしぼり上のウイルスや菌を99.99%以上も抑制する『VB』おしぼり。
災害時に気を使う衛生場面にもぴったりです。

HAND & BODY L

Lサイズはコンパクトながらも、丈夫で破れにくい、
広げるとボディタオルサイズ(600×300mm)のおしぼり。
『VB』技術を進化させ、肌を洗浄し、整え、潤いを与える
効果が認められた化粧品基準の『VB-COSME-』おしぼりです。
手のみならず、全身にお使いいただけます。

──手を拭く、入浴代わりに使う以外にも、おしぼりの使いかたはありますか?

これは被災地で衛生面の支援に携わる方から聞いた話ですが、おしぼりは傷口を洗う水が確保できないときに、汚れやゴミを拭き取るのに使ったり、赤ちゃんやお年寄りのおむつ交換でも使ったりするそうです。ほかには、熱中症患者の身体に常温のおしぼりを貼り付けて体表温度を下げることも、寒い時期に電子レンジで加熱*3 して手足を温めることもできます。歯ブラシがない場合は、おしぼりで歯を拭き取るだけでも、口内を清潔に保つのに役立つと聞きました*4。
おしぼりは、本当にいろいろなことに使える被災地支援になくてはならない存在です。

以前、FSXさんから「夏には冷蔵庫でおしぼりを冷やしておくと気持ちいいですよ」と聞いたので、それをCSOに伝えたところ、現地のボランティアや被災者の方々にとても喜んでいただけました。

FSXさんと言えば、過去に香りのついたポケットおしぼり「AROMA Premium」を提供いただいたときのことも印象に残っています。ある災害支援で「疲弊している皆さんをなにかで支援したい」と加盟企業に一斉連絡したところ、「それであれば通常のポケットおしぼりに加えて、アロマの香りでリラックス効果もある『AROMA Premium』もいかがですか?」とFSXさんからご提案いただきました。災害に遭われた方々の状況を思いやった提案で、とてもありがたかったですね。

AROMA Premium PEPPERMINT

爽やかに香るアロマと、厚みのあるしっかりとした拭き心地は、使う人を笑顔にしてくれるVB-COSME-おしぼりです。ペパーミントはスッと爽快感のある香り。清涼感のある爽やかなメントールは、気分転換に広く親しまれています。

*3 FSXでは温める際は電子レンジではなく、タオルウォーマーを推奨。
*4 あくまでもおしぼり全般の被災時対応。

──おしぼりにもいろいろな用途があるんですね。そうした現地での反応は支援する企業にも届いているのでしょうか?

すべてをお伝えできてはいませんが、CSOが受け取った被災者の方々からの感謝の声は、支援してくださった企業にもできるだけお伝えするようにしています。支援のモチベーションにつながると思いますので、テキストだけでなく可能な範囲で写真もお送りするようにしています。

──現在、SEMAに加盟する衛生用品関連の企業のうち、約半数がおしぼりを取り扱う企業です。これほどおしぼり業者が多いのはなぜですか?

ひとつは、支援の負担がいつも同じ企業に偏らないようにするためです。もうひとつは、平成30年7月豪雨災害での経験をふまえてのことです。当時は道路の破損などによって被災地まで大型のトラックが進入できない状況でした。そのときに地元のおしぼり業者様が小型のトラックを所有していて、道にも詳しかったことから、物流の最後の部分を担ってくれたんです。

そういった経験があり、後日、SEMAから全国おしぼり協同組合連合会にお声がけした結果、多くのおしぼり業者様の加盟につながりました。

物資の支援で協力いただけるのは嬉しいです。そして、同時に地域に根付いて活躍されるおしぼり業者様にはこれからも最終拠点から被災地までのラストワンマイルとしての役割に期待しています。

―― おしぼり業者が物流の役割を担うことがあるように、企業がメインで扱うサービス以外でもSEMAに協力できそうですね。

実は、令和6年能登半島地震では、支援物資の一時的な保管場所が不足し、課題となりました。置き場が少ないと支援物資はどうしても必要なものに限定されてしまい、被災者の避難生活をより快適にする物資は後回しになりがちです。

SEMAでは、基本的に企業で扱っている商品の提供を受けることを大切にしていますが、たとえば企業が所有する倉庫を災害時に支援物資置き場として提供いただく、というような支援も考えられそうです。

──最後に、藤岡さんの考えるおしぼりの良さ、そして災害への備えについてメッセージをお願いします。

とくに能登半島地震では、水が長期間使えない生活の大変さを痛感しました。そうしたときも、衛生的な生活を保つためにおしぼりは非常に有用です。災害時だけでなく日常でも役立つ万能なアイテムですので、ぜひ活用してほしいと思います。
多くの方は食品や水の備蓄をしていると思いますが、そこに簡易トイレやおしぼりも加えて避難セットを見直していただけると、より良い備えができるのではないかと考えています。


現在、SEMAでは平均して年3回の災害支援をおこなっています。
自然災害は、いつ、どこで起きるかわかりません。
ポケットおしぼりは常温保存ができて、平時から非常時までさまざまなシーンで活躍する衛生用品です。個包装されたFSXのポケットおしぼりは約半年間から、長いもので1年半は乾くことなくお使いいただけます。
災害への備えとして、ご自宅だけでなく職場のデスクや車のトランクにも常備してみてはいかがでしょうか?